2007年4月4日水曜日

「アルゼンチンババア」

面白い/面白くない のどちらでもなかった。
昔はよく よしもとばななの小説を好んで読んでいたので
ちょっぴり肩透かしをくらった思いがした。

身近な者の死をどう乗り越えるか というテーマには
大いに関心があるが
ストーリーの中から得られるものは
僕にとっては特になかった。

ワンシーンだけ興味深かったのは
妻と母に先立たれた夫(役所公司)と娘(掘北真希)が
死ぬ間際の心境を告白する場面。
夫は 愛する者の喪失から逃げ出したかった と言い
娘は 家族一健康な母が衰えていくのを見かねて
死んで欲しかった と言う。
このふたりの正直な気持ちには共感できた。
自分が同じ境遇に立たされたならば
同じような気持ち 同じような行動を
とるかもしれない と。

だが そのような重いテーマを
アルゼンチンババアという
今風の言葉で言えば”都市伝説”化した
ひとりの人間との触れ合いによって
乗り越えてしまうのだが
彼女のどういう点がそうさせたのかが
全くつかめなかった。僕が鈍感なだけかもしれないが。

どちらかといえば
「幼い頃にアルゼンチンババア的な人っていたな。」
という 話の筋とは関係の無い事を思い出した。