2009年2月28日土曜日

「精神」

「選挙」の想田和弘監督による

2作目の"観察映画"(ドキュメンタリー) 「精神」

上映後の監督トークを観てきました


岡山県で精神病院の開架(病棟に架けられた鍵を取り外す)に尽力され

大病院での精神医療の有り方に疑問を抱いた精神科医 山本昌知さんが

患者の方々と共に設立した「こらーる岡山」という精神診療所施設を舞台に

患者や医師 施設スタッフの姿を追った

(想田監督の言葉をお借りすれば)

"(患者とそうでない人とを遮断する)カーテンを取り払う"映画です


想田監督は 

"この映像には(監督本人の)主張はないが 視点はある"

とおっしゃっていました


それは例えば(これは実際にトークで出た例ですが)

"カメラが某政党のポスターをズームして

精神病患者(あるいは医療)とこの政党(あるいは政治)は無関係ではないですよね?

むしろ何かしらの関係があるような気がしませんか? 

と投げかける

けれども どういう関係があるか?と思うかは

ご覧になった皆さんそれぞれ違うでしょう

その多様な意見を映画を通じて引き出すことが重要なのです"


といったものです


主張を息をひそめて殺しながらカメラを回しているように 僕は感じました

なぜなら カメラに映し出された強烈な個性を持った患者さんを前に

全く無感情でいられることは 人間として不可能だと思うからです)


ご覧になられた観客の多くは 

"こらーる岡山"という精神診療所施設に同居しているような

疑似体験をしていたと思います(もちろん僕も含めて)

そして 同居(あるいは疑似体験)をしていても 

患者さんの心の奥底や闇の部分をすべて知ることは出来ない 

ということを知ることが出来ると思います

何度も知ったような気にはなるのです! 何度も何度も・・・

ですがそれはすべてを知ったわけではないと

後々打ちひしがれることになります

特に ラストのエピソード 

そして エンドロールで明かされる事実

・・・


でもそれは何も 心の病を患った方々に限った話ではなく

僕たちが日常心の中に抱えているものと

明確に区分出来るものでもない

(これも監督の言葉をお借りして) "グレー"であることを知ることが

"カーテンを取り払う"ことなのだと強く感じました


もうひとつ強調すべき点は 

山本先生の人柄とセラピー対する考え方に救われます

山本先生は診察中患者の話をさえぎらず ひたすら耳を傾けて聴く

ひたすら聴いた上で 患者が悩みを相談する段階に至ると

"あなたはどうしたいかな?"と患者本人に決断を促す

それを積み重ねてゆくことで患者に主体性を回復させ 

真の治療を目指す

この山本先生のセラピーにとても共感を覚えたと同時に

共感を超え山本先生そのものが好きになってしまう

人間的魅力に触れることが出来る点に

この作品の救いを見出しました


監督に明確な意図があるのかどうか定かではありませんが

(地上波テレビほどではないものの)

映画の表現に関する制約条件が年々増える日本を離れ

(例えば製作や宣伝のための資金調達は日本に居た方がしやすい半面 

その分映せない映像も増えるでしょう)

海外(監督はニューヨーク在住です)に拠点を置き

海外から日本を撮ることで

撮りたいテーマを自由に撮ることが出来る環境で撮るあたりも

クレバーな方だと思います


パンフレットの斉藤環さんによる解説はかなり秀逸です

もし映画をご覧になられる機会があれば

買わずとも目を通されることを強くおすすめします


この映画の記憶は簡単に消せはしませんし 

また消すべきでもないと思います

ただ 早急に何か違う映画なり何なりを観ることで

僕自身の精神的バランスを保たなければ・・・と思うくらい

背中に強烈な爪痕を残す作品であったことも

また 事実です


いずれにせよ この映画に出会え 目を背けず観てよかった 

と思います











2009年2月12日木曜日

STEREOLAB 20090210 OSAKA

10年ぶりに観たステレオラブ
あの頃に比べクアトロはガラガラで悲しかったけど
きっとみんな待ちわびていたファンばかり
こじんまりとしたホームパーティのように暖かかった

"Three Women" "Neon Beanbag" は未来への架け橋
"Cybele's Reverie" は10年の時を色褪せず迎えてくれた



Stereolab - "Neon Beanbag"



Stereolab - "Three Women"



Stereolab - "Cybele's Reverie"