2009年6月7日日曜日

「ハゲタカ」

毎週楽しみにしていたドラマの映画版を観に行くのは

仲が良かったけど卒業後会ってない友人と再会するのに少し似ている気がする

今(映画)どうであるかよりも 昔(ドラマ)はあんなことあって楽しかったよね と

話題(ストーリー)よりも顔(登場人物)を見ることが出来ただけで満足してしまう

とでも言おうか

実際 一番テンションが上がったのは

(松田)龍平くんが旅館継いで猫を撫でながらタバコ吹かしてる

冒頭のシーンだったと言っても あながち嘘とも言い切れない


それでも 鷲津ファンド復活!と聞けば

シネコンだろうが何だろうが駆けつけてしまう己のミーハー心は

レンタル解禁日を待つどころか公開初日に駆けつける有様


まずはじめにツッコむべき点は

"制作委員会"にニッポン放送が入っているところ

ドラマで間接的にトレースされていた企業がまさか映画"ファンド"になるなんて面白すぎ


肝心の本編は 最初20~30分くらいは

予想"以上に"ダメかな…と思っていたが

尻上がりに昔ドラマを観ていたワクワク感が蘇り

鷲津(大森南朋)の戦略は僕が予想していた浅はかなヨミとは全く違う大ネタだった

(大ネタだからすごい!って言いきれるものでもないと思うけど)


最初つまらなかったのは 鷲津がホワイトナイトになって…みたいな

ドラえもんが映画化されると何故かジャイアンまでもがいい人になる

なんだかなっていう勧善懲悪モノだったら・・・みたいな危惧があったからだが

それは違った


ただ ドラマに比べて登場人物の心理描写が弱く

今日の経済現象に模して作り手が自己陶酔している感は否めなかった


役者のチョイスは相変わらず好みが合う

玉山鉄二 高良健吾 そして遠藤憲一 全員ストライク

玉山鉄二ってテレビ局配給系映画によく出る役者の中では個人的に評価高いかも


でも やっぱり龍平くんだった

禁煙であろうホテルでふてぶてしくタバコ咥えながら

鷲津の企みを手助けするほんの数分で十分おいしいところ取り

松田優作の息子抜きで龍平くんには男として大いなる憧れと嫉妬をぶつけてしまう

かないっこないのに


ドラマの時には全く気づかなかったけれど

企業買収のマネーゲームって少しSMっぽい?

鷲津は1周回ってMな気がしなくもないけれど

ファンドは基本的にSという意味

買収後の役員解任なんて "プレイじゃん!?"って思った


そういえば最近の村上龍の小説って読んでないけど

彼が経済に興味を持つようになったことは

間接的にも関係あるのだろうか? と

おそらく大きく的ハズレでトンチンカンなことを

株価の"ロウソク"が下方に落ちてゆく姿を見つめる登場人物をみながら考えていた


ハリウッド的演出や音楽を排してテレビで特番として放映したほうが

むしろ話題になると思うけど

この映画自体もある種マネーゲームだったりするんだろうな