2013年2月19日火曜日

「UPSIDE DOWN」

イギリスのインディ・レーベルクリエイション・レコーズの歴史を創始者アラン・マッギーのインタビューを中心に振り返るドキュメンタリー

クリエイションの成功をプライマル・スクリーム「スクリーマデリカ」と位置付けるならば、その花が開いたことと
アラン・マッギーが拠点をあのハシエンダがあるマンチェスターに移した影響は計り知れない。

ひとつは「アシッド・ハウス」という流行語なのかジャンルなのかさえもあいまいなくらい音楽シーンを席巻したマンチェスター発のクラブ・ミュージックとの接近。

そしてもうひとつは、ハシエンダに出入りして音に浸るうちに音以上にのめり込んでいったかもしれないドラッグ。

アランがプライマルのボビーにドラッグをすすめた話が本編アランのインタビューによって語られていたが、後にプライマル・スクリームが「loaded」でヒットを飛ばし
そして傑作アルバム「スクリーマデリカ」を完成させたこととドラッグの件は無関係ではないとみるのが自然なように思える。

マンチェスターに移りプライマルが成功をおさめたころのアランは、より高いところへと向かうためドラッグに自らを染めていったのだろう。
しかし、経営が悪化し大手ソニーの力を借り次第にインディ・レーベル色が薄れていったころのアランは、不安定な精神状態をドラッグに溺れることで
なんとかバランスを取ろうとしていたのかもしれない。

それでもその後OASISというダイヤの原石を見出したりクリエイションで華々しくデビューを飾り一度はレーベルを去ったジーザス&メリーチェインが行き場に迷うと
救いの手をさしのべるあたりの目利きと人間味は確かなものであり、胸が熱くなる。

結局経営が立ち行かなくなったためレーベルの歴史は幕を下ろすこととなったが、クリエイション・レコーズが輩出したバンドや出身のミュージシャンは
音楽史を第一線で書き換え続けている。





2013年2月17日日曜日

ウフィツィ・ヴァーチャル・ミュージアム






とても感動した。

高い解像度と鑑賞者へ工夫を凝らしたインターフェイスを駆使すれば、

複製画の展示でここまで面白く出来るものなのか!

企画制作に携わったスタッフの方々を胴上げしたくなるくらいにとても。



この展覧会を観るまで、自分はボッティチェッリが描く女性には惹かれないと思っていた。
うやら勘違いだ。

地デジに移行して芸能人の顔が変わって見えたのと同じように、高解像度の複製画のおかげでそれに気付けた。

逆に実物を観て同じように勘違いと気付けたか...と考えると、この展覧会がどれほど意義深いものであったかが、はっきりとわかる


アンケート内容とその回収方法にも、うなった。

ここにも鑑賞者が何を欲してるのかを熟知した仕掛けが。

「『教養』と聞いて連想するものは?」というアンケート項目があったのだが、

「今までなら『百科事典が入った本棚』と答えたが本展を観たあとでは『iPad』が浮かんだ。」

と記入したのは、我ながらこの展覧会らしいと思う。