予想外に傑作だった。
僕がこれまで青山真治監督の映画を
支持しなかった理由は
長尺にもかかわらずラストにカタルシスを得ない
もどかしさや消化不良な気分にあったのだが
それは当たり前の事だというのが
この映画を観てわかった。
なぜなら
「Helpless」「ユリイカ」は
「サッドヴァケイション」の予告編であり
「サッドヴァケイション」は
「Helpless」「ユリイカ」との3部作の
完結編だったからだ。
正直 青山真治がここまで壮大な映画を撮るとは
思ってもいなかった。
その点を見抜けずに
青山真治はつまらないと言っていた
自分を恥じたい。
ひとことで言ってしまえば
憎しみを克服して生まれる家族の絆や
家族や他人を超越した温もりといったもの
つまり 愛 だ。
だが青山真治の凄いところは
この一見単純明快な 愛 というものの
獲得の過程では
様々な困難や事件が起こり
本当の 愛 を獲得するにはいくたの困難や事件を
乗り越えなければならなく
そのように苦労して獲得した 愛 だからこそ
尊いのだ という事を
綿密な人物描写によって描いている点にある。
「Helpless」「ユリイカ」「サッドヴァケイション」と
8時間以上の壮大な物語によって
愛の尊さを訴えたかったのだ。
繰り返すが「サッドヴァケイション」は傑作だ。
この点を踏まえて「Helpless」「ユリイカ」を観直して
再度「サッドヴァケイション」を観てみたいと思う。