2007年9月26日水曜日

「サッドヴァケイション」

予想外に傑作だった。

僕がこれまで青山真治監督の映画を

支持しなかった理由は

長尺にもかかわらずラストにカタルシスを得ない

もどかしさや消化不良な気分にあったのだが

それは当たり前の事だというのが

この映画を観てわかった。


なぜなら

「Helpless」「ユリイカ」は

「サッドヴァケイション」の予告編であり

「サッドヴァケイション」は

「Helpless」「ユリイカ」との3部作の

完結編だったからだ。

正直 青山真治がここまで壮大な映画を撮るとは

思ってもいなかった。

その点を見抜けずに 

青山真治はつまらないと言っていた

自分を恥じたい。


ひとことで言ってしまえば

憎しみを克服して生まれる家族の絆や

家族や他人を超越した温もりといったもの

つまり 愛 だ。

だが青山真治の凄いところは

この一見単純明快な 愛 というものの

獲得の過程では

様々な困難や事件が起こり

本当の 愛 を獲得するにはいくたの困難や事件を

乗り越えなければならなく

そのように苦労して獲得した 愛 だからこそ

尊いのだ という事を

綿密な人物描写によって描いている点にある。

「Helpless」「ユリイカ」「サッドヴァケイション」と

8時間以上の壮大な物語によって

愛の尊さを訴えたかったのだ。


繰り返すが「サッドヴァケイション」は傑作だ。

この点を踏まえて「Helpless」「ユリイカ」を観直して

再度「サッドヴァケイション」を観てみたいと思う。









2007年9月12日水曜日

「新世紀ヱヴァンゲリオン劇場版:序」

「エヴァンゲリオン」という映像作品は
様々な願いで作られています。
・・・
蔓延する閉塞感を打破したいという願い。
現実世界で生きてゆく心の強さを持ち続けたい、という願い。
・・・
エヴァはもう古い、とも感じます。
しかし、この12年間エヴァより新しいアニメは
ありませんでした。
・・・
閉じて停滞した現代には技術論ではなく、
志を示すことが大切だと思います。
・・・
「エヴァ」はくり返しの物語です。
主人公が何度も同じ目に遭いながら、
ひたすら立ち上がってゆく物語です。
わずかでも前に進もうとする、意思の話です。
曖昧な孤独に耐え他者に触れるのが怖くても
一緒にいたいと思う、覚悟の話です。
・・・ 
(パンフレット 庵野秀明コメントより抜粋)

このコメントが全てだ。