2007年3月30日金曜日

「フリージア」

久々に良質な日本のバイオレンス映画を観た。
「バトルロワイヤル」以来か。
さすがは「鬼畜大宴会」の監督作品だけある。

個人的に良かった点は
初期の北野武映画にも通じるような
勧善懲悪ではない 善悪を超えてかつ感情を排した
クールなバイオレンスさだ。
特に主人公ヒロシ(玉山鉄二)の演技が良い。
人の話を聞いているのかわからないような
無感情で不感症でありながらも
射撃の腕だけはもの凄い腕を持っているという
難解なキャラ設定を見事にこなしている。
「手紙」「NANA」と今回で
彼はやはりいい役者さんであることを確信した。

起承転結やオチのようなはっきりとしたものはなく
むしろ謎が残ったまま映画は終わるのだが
ラストのヒロシとトシオの西部劇まがいの決闘シーンは
とても男らしくて 美しかった。
時間にして1秒。
この一瞬のために2時間があったと言っても
過言では無いだろう。

原作は読んでいないので知らないが
脚本は相当書き換えられたものらしい。
原作を知る・知らない問わずおすすめしたい。
観終わって何だかスカッとした。



2007年3月14日水曜日

「LUNACY」

ヤン・シュヴァンクマイエルの新作「LUNACY」を鑑賞。

観終わった後 しばらく身動きがとれないくらい

圧倒されてしまった。


秩序と無秩序いう相反する二者を提示して

そのどちらにも本来の自由は存在しない という

救いの無さがこの映画のとても恐ろしいところだ。


ヤンは冒頭で

「これはホラー映画です」と

語りかける。

とは言っても幽霊が出て来るわけではない。

たとえるなら”精神的ホラー”とでも呼ぼうか。


まだこの映画を冷静に解釈して

文章にまとめるだけの余裕が無い。

それくらい衝撃的だったからだ。


1500円近くする高いパンフレット(というか本)を

衝動買いした。

これを何度も読み返して

もう少し考えをまとめてみたいと思う。


オススメの映画と言うよりは 観るべき映画。



2007年3月7日水曜日

cornelius 2007/3/4 金沢Eight Hall

季節はずれの風鈴が鳴り響く中

整理番号「69番」という

ファンにとってはある種プラチナチケットを

握り締めながら 開演を待つ。

風鈴とフランク・シナトラなどのムード歌謡が

奇妙な一体感をなすBGMは

何故か遠い夏を思わせる趣。


時計が午後7時を過ぎた頃

会場が暗転し

「THE FIRST QUESTION AWARDのテーマ」などを

コラージュしたSEが鳴り響く。

会場は一気に活気づいた。

お約束の「こ・ん・ば・ん・は」(ご当地バージョン)で

笑いを誘う。


そして 幕が上がった。


全員おそろいの白シャツ。

そして全員黒髪!金髪女性ドラマーのあらきさんまで!


序盤の「Breezin'」~「Wataridori」~「GUM」という

セットリストはSSTV「中目黒テレビ」で見たのと

同じであった。「Wataridori」はCDで聴くよりも

ギターの音が全面に出ていて

GROOVISIONSの映像に躍動感を与えていた。

「GUM」のギターソロがカッコイイ。

演奏後に思わず「小山田くん若い!」という

ファンの声が漏れる。(メンバー苦笑い。)

そもそも「~くん」付けで呼ぶ人に対して

「若い!」という実際は若くない人に使う形容詞を

付ける事は矛盾しているわけだが

小山田くんを評するには極めて的を得た言葉だと思う。

Kahimi Karieさんもそうだが

音楽的にはものすごく成長しているにもかかわらず

見た目は何故あんなに若いのか?

「38になりました(笑)」と小山田くんはさらっと

答えていたが こんな38歳なかなかいないかも。


LIVEの詳細を記述しようと思ったのだが

まだツアーは続行中でこれから見る人も多いので

ネタバレしないように書かないことにする。


僕はcorneliusのツアーは国内に関しては皆勤賞だが

今回のツアーがいちばん充実していたと思う。

APEやアニエスのボーダーを着ていた頃のファンにも

楽しめる内容だった。

(ごく少数でむしろ逆だとは思うが)

一部「point」以降のCorneliusはつまらないと言う人は

是非生で見て聴いて欲しい。

考えを間違いなく改めるであろう。