2007年4月19日木曜日

「東京タワー」

映画館ですすり泣きが聞こえたのは久しぶりだ。

松尾スズキの脚本がどれだけリリー・フランキーと
相性が合うかに注目して観たが
まさに 水魚の交わり だった。
リリー・フランキーという素材を活かしながらも
松尾スズキ的な笑いが随所に盛り込まれていた。
「10円玉のニオイ」なんて
古くからリリーを知っている人じゃないとわからないはず。

だが 水魚の交わり という喩えをしたのは
笑いの部分だけではない。
オダギリ・ジョーがまんまリリー・フランキーだった。
つまり 松尾スズkはリリー・フランキーが
どういう人物かを熟知した上で
脚本を書いたに違いない。

フジテレビで放映されたドラマ2本も悪くはなかったが
リリーではなかった。

だが映画がドラマの比じゃないくらい優れていたのは
病床のオカンの姿だった。
後半は観ているのが辛くなるくらい苦しそうな演技で
それはつまり 死んで楽にさせてあげたいという気持ちと
死んでしまったらオカンにはもう会えないという
ジレンマから来るリリーの葛藤の眼差しでもあり
死にたいくらい苦しいけれど息子の為に1日でも永く
生きていたいというオカンの愛情表現でもある。

後半は涙腺が緩みっぱなしだった。

福山雅治のエンディングテーマも
映画を観て書き下ろした曲という事もあって
映画の世界を上手く保った曲だったように思う。

原作のファンにもおすすめできる内容だった。