2010年1月16日土曜日

Haus Habsburg,Velazquez

京都国立博物館でTHE ハプスブルク展を観て来ました


名だたる名画の数々に見どころは尽きないですが



王家の肖像画が展示されたコーナー



とりわけ ベラスケスの2枚の絵



"王女マルガリータ"と"皇太子プロスペロ"に強く惹き込まれました




少女少年としてのはにかみと王家としての気高さが共存する表情とたたずまいが



ベラスケスが筆を走らせた油彩によって



筆舌に尽くしがたい ならぬ 筆舌に全て言い尽くされた かのように



額縁の中で濃密に語られています



油彩の上に残る筆致には あたかも今書き終えたかのごとき生(ライブ)の感覚が残り



マルガリータ21年 プロスペロに至っては4年という短い生涯を



生きた証として現代を生きる我々の胸に確実に刻み込む生命の永遠なる力強さは



涙を誘います




ベラスケスの2枚の絵を観ているうち



"宮廷画家は果たして本当に描きたい絵画が描けたであろうか?"という命題を



とりあえず脇に置いておきたくなりました



たとえ王家の威信というフィクションが刻み込まれていたとしても



そこには芸術のみならず



遠く時空を超えたメディアとしての宮廷絵画が存在するからです



歴史を伝えるメディアとしてはもちろんのこと



時代 地域 階級 年齢 性別 を問わず すべての人間には力強い生命がある というメッセージ



額縁越しにそれを伝えるメディアとしてのマルガリータとプロスペロの姿は



はかなくも気品と爛漫さに満ちていました