2009年8月3日月曜日

リチャード・バック フェレット物語Ⅰ 『海の救助隊』

この本を選ぶと 読書というのはつくづく私的なものだと思います


"空を飛ぶ" ということは 人生におけるあらゆる局面の象徴です

上昇 維持 逃避 そして下降・・・

リチャード・バックの代表作「かもめのジョナサン」は

人生において"空を飛ぶ"ことに価値を見出し 共感出来るか否かによって

読み手に伝わる感動が大きく変わる作品のように思われます

同じバックの"フェレット物語"シリーズも 核になる部分は異ならないのですが

もう少し肩の力を抜いて 絵本を読むように楽しめるあたりは

「かもめのジョナサン」や「イリュージョン」に比べると 

読者を選ばないかも知れません

もちろん どちらがより大きな感動を得られるかは 人それぞれです


僕がこの本を手にしたことと この作品がバックにとってどういう位置づけであるかは

はっきり言って無関係です

端的に言えば フェレットが主人公のフェレットの物語だから興味を持ちました


東京で暮らしているときに 5年ほどフェレットと同居していました

フェレットが亡くなったペットロスを今も若干抱えたままです

フェレットと暮らしていた楽しい時期を知っているため 

フェレットにまつわる物事が視界に入ると 興味がわきます

この本との出会いも例外ではありません


人間の世界と並列に フェレットの世界 動物の世界が描かれていて

後者に理想の世界像を重ねるあたりはバック的な小説ですが

前述した通り 僕にとってそれはさほど関心の対象ではありません

愛嬌あるフェレットが心温まる物語を届けてくれることで十分です

それが重要です


この本を選ぶと 読書というのはつくづく私的なものだと思います