2009年10月23日金曜日

「手紙」

今日はやたらこの映画のことが頭に浮かんでは消えた

芸能人裁判 電車脱線事故・・・
被害者もしくは家族や遺族の怒りや悲しみ
やりきれなさや不条理さを納めたいがために
感情をぶつける矛先を何かに見いだそうとする気持ち
"わかる"

いや 実はわからない 
わかったふりをしているだけに思えて仕方がない
というより わかりっこない

いつもと変わらず電車に揺られ出かけて帰る
帰宅してテレビをつけ
事故の責任は会社の体質そのものという被害者や遺族の感情に
同調しそうになる

何の興味もない芸能人の裁判の模様が
事件の核心に触れずのらりくらりとしていることに
いら立つ

同じ社会を生きているという意味で
まったく無関係ではいられないことはもちろんわかっている
だが わかりっこない当事者のやりきれない思いを
"わかる" かのように処理しようとする自分の頭の中が
さっぱりわからなくなる

社会とおもいっきりつながっている自分が
社会から不条理に断絶を強いられた人々の気持ちを
お気楽にくみ取ろうとすることに腹が立つ

しかも腹立たしい思いを抱えながら
お腹がすいて夕食は何を食べようか?と同時並行で考えている
実にくだらない

このようなくだらなさが
結局なにもわかりっこない証拠なんだと思う

--------------------------

主人公(山田孝之)はお笑い芸人として成り上がる夢を捨て
恋人(沢尻エリカ)と平凡で穏やかな暮らしを歩むことで幸せをつかもうとする
就職先での評価もすこぶる高く一見順風満帆に見えた

しかしながら 
兄(玉山鉄二)が殺人犯として刑務所に入獄していることが会社にバレると
工場の単純労働現場に左遷されてしまう

工場を訪れた経営者が主人公へ
"ここからはじめるんだ"と語りかける

兄の犯罪を犯した原因が自らの学費を"かせぐ"ためにあったことに
複雑な思いを抱いていた主人公は
面会を断っていた兄にお笑い芸人の慰問という形で
間接的に再会を果たすが
ステージを見つめ泣きじゃくる兄の演技がすごい

今 "演技"と言ったが
正確には"演技"というより "素" "リアル"
タマテツの感情移入っぷりがすごい

迫真の演技は感動を誘うが
共感や救いとはまた別のような気がした
救いがあるとすれば
それは主人公と兄の間にだけ存在する絆であって
観ているこちらがどうのこうのいうものでもない感じがした

突き放した言い方に聞こえるかもしれないが
当事者にならない内はフィクションとして感動している類の作品に感じた

--------------------------

映画の出来がどうこうとか原作を読んでいないことに触れる気はない
この映画を多くの人に観て 感動して 共感してほしい! と思って
書いているわけでもない

ただ今日はやたらこの映画のことが頭に浮かんでは消えた という
僕のつまらない頭の中をつらつらと書いただけ