2011年4月3日日曜日
「SOMEWHERE」
しばしば女性が男性を評して使う「かわいい」という言葉は、
同性の目からはなかなか実態をとらえにくいものです。
それが、スティーヴン・ドーフ演じるジョニーを通じ、はじめてわかった!
僕がこの映画を観て感動した最大のポイントは、そこでした。
ジョニー(スティーヴン・ドーフ)がオープンテラスのカフェでたたずんでいる姿を見て、
二人組の女性客が「彼、かわいいわね。」と言うシーンが、前半かなり早くに出て来ます。
ここで、ジョニー=「かわいい」と動機づけられると、ソフィア(・コッポラ)の女性監督たる強みが本領発揮。
筋肉質で胸毛も生えた大人の男性がなぜ「かわいい」のか?という命題が、
説明される必要も無く、いつの間にか当たり前の既成事実として証明済になってしまうすごさ!
繰り返しますが、大人の男性を「かわいい」という女性特有の感覚を、
男性の側が感じ取ることが出来るのは、奇跡に近いと言いたいくらい稀なことだと思います。
母性本能と関係があるのか?ないのか?
「ブラウン・バニー」のヴィンセント・ギャロは「かわいい」のか?そうではないのか?
これらは、男性が知ろうと思っても普通はなかなか知ることは出来ないはず。
しかしながら、「SOMEWHERE」のスティーヴン・ドーフは「かわいい」!断言出来ます。
彼の「かわいい」は、背中に悲哀があります。
その悲哀のうちかなりの割合を占めるのが、可愛い娘を悲しませない、ということ。
クレオ役、エル・ファニングの可愛さについては、語るのが野暮です。完璧。
パンフレットのプロダクション・ノートに書かれていた彼女の設定は、なるほどと思いました。
セリフの中に散りばめられたクスッと笑ってしまう小ネタも最高。
たとえば、「ダサいレオタード」や「ヴァンパイア」、僕の勘違いでしょうか。
観ていて嫌な気分になるシーンがひとつもなく、すがすがしく映画館を出ることが出来たのは、
この時勢このタイミングで公開され、これ以上を望むことがないくらい、
最高のプレゼントだと思います。